「阿智村商店街」を再現 メタバースによる地方創生は可能か

メタバースは、地方創生の有効策と成り得るだろうか。2023年8月21日、長野県阿智村商工会はメタバース上に仮想の商店街「阿智村メタバース商店街」を制作すると発表した。当時の商店街の盛況を仮想空間に設置し、阿智村の魅力を広くPRする。

長野県 阿智村商工会は会員事業所の事業発展と地域振興を目指してメタバース上に仮想の商店街「阿智村メタバース商店街」を制作する。商店街は昭和30年代の賑わった様子を再現しつつ、会員事業所の製品やサービスを紹介。来訪者に村の魅力を伝えつつ、会員事業所の経済効果を狙う。

引用元:メタバースに昭和レトロな商店街!長野県阿智村の新たな挑戦|合同会社未来創世塾のプレスリリース

メタバース商店街で当時の面影を伝える

引用元:メタバースに昭和レトロな商店街!長野県阿智村の新たな挑戦|合同会社未来創世塾のプレスリリース

当時の商店街の風景を仮想空間に再現する狙いは、阿智村を知らない人にも魅力を認知してもらうためだ。「昭和30年代の賑わい」の疑似体験を提供しつつ、今もある店舗や事業所のサービス・製品についても知ってもらう。時間や場所に関係なくアクセスできるというメタバースの強みを活かせば、これまで届かなかった層にも魅力を訴求するチャンスが生まれ、認知度向上につながる。阿智村に限らず、都市部から遠く離れた山村が生き残りを図るには、ITやDX等を柔軟に取り入れ、自らビジネスチャンスを生み出し、ファンを獲得する必要がある。

メタバース商店街、経済効果は未知数

阿智村はメタバース商店街の制作にあたり、合同会社未来創生塾をパートナーに選んだ。制作完了は今年10月を予定している。現在参加予定の事業所は14で、製造業・飲食業・サービス業・小売業・旅行業など、さまざまな業種が一丸となって、阿智村に活況を取り戻そうとしている。リニア中央新幹線の開通が実現すれば大きな経済効果が見込めるだろうが、それを踏まえても今後の阿智村の振興の可能性は未知数。国内初の商工会によるメタバース商店街の行方を、注意深く追っていきたい。

まとめ

阿智村は秘境の地と言われており、一見民家にも見える事業所が軒を連ねる光景は、時代の流れを感じさせる。当時の賑わいは失われたかもしれないが、裏を返せば「レトロ」を好む現代の価値観にマッチするとも捉えられる。郷愁(ノスタルジー)をいかに呼び起こすかが、「地方創生」×「メタバース」を成功させる鍵と言えそうだ。

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